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日々全力投球

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妄想と煙草で生きてますっ!!!(駄目人間めっ!!!)
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その一瞬・・・。

 

 

開くのは・・・

 

 

夢を見た。
過去を再生する夢じゃなくて、これは夢だと分かる夢。
黒一色の中で白く光る扉だけが見えるなんて、夢じゃなかったらなんだってんだよ。
何の飾りっ気も無く唯一の装飾は、扉とは対照的なでっかい黒玉を付けたようなドアノブだけ。
そっけないデザインの癖に、やたらと目を惹きつける。
光ってるからとかじゃなくて、綺麗・・・つうか温かい?
いや、それも違うな。
そう思えるのは、この扉の向こう側がそんなもんで満たされてるからだ。
見えない筈なのに、何でか分かる。
気付けばドアノブに手を伸ばしていた。
掴み掛けて・・・ドアノブに皮膚の何処かが触れる前に手を下ろす。
開く訳ねぇだろ?
綺麗で温かい物が詰まってる扉に、鍵が掛かってない訳が無い。
ドアノブ掴んで回して開かなかった時に落胆する位なら、最初から何もしない方が良いに決ってる。
そう結論を出して、夢の中で目を閉じた・・・。

 


「あの・・・銀さん?」
「あー?」

昼下がりの午後、ソファに浅く腰掛けて背凭れの後ろに両腕を垂らして、頭も背凭れに預けて天井を見上げていると、さっきまで洗い物をしていた新八が片付けが終わったのか声を掛けて来た。
適当に返事を返すと、ちょっとの間を置いて見上げる天井を遮るように新八の顔が割り込んで来る。

「何よ?新ちゃん」
「何はこっちの台詞です。何時も以上に目が死んでますよ?」

さらりと酷い事言われてね?
そう思いはしたが、あえて口にしなかったのは言い返す気力も無ければ、言葉と裏腹に心配そうに眉を八の字に垂らされてたからだ。

「具合でも悪いんですか?朝からずっとそんな調子でしたし・・・」
「いやー別にー」
「銀さんの『別に』ほど信用出来ない物はないです」

ビシッと突っ込まれて、前科があり過ぎる為にグゥの音も出ない。
ちょっと失礼しますね・・・と、律儀に断りを入れた新八がそっと右手を俺の額の上に乗せた。
つい先程まで水仕事をしていたその掌はひんやりとしていて何処か心地良く、自然と両の瞼を閉じる。
道場の息子らしく竹刀だこで幾らか固い掌ではあるが、まだ子供特有の柔らかさを残した掌。

「熱は・・・ないみたいですね」
「だから別にって言ったでしょ?」

すっと退けられた掌の感触を惜しみながら目を開けば、確かめた癖に心配そうな表情を崩さない新八の顔。
上半身を屈めて覗き込んで居るから、その距離は思ったよりも近い。
例えば・・・例えば、だ。
背凭れの後ろに垂らしている、右でも左でもどっちでも良い。
そのどちらかを持ち上げて、サラサラの黒髪で覆われているその頭を引き寄せれば、驚きながらも思い通りに落ちて来るんじゃないか、なんて。
ピクリと、指先が震えたのが分かった。

「今日は、寝てて良いです」

不意に落ちて来た言葉に、慌てて震えた指先を握り込んで目を瞬かせる。

「熱はないですけど、本当に具合が悪そうですから今日はもう一日寝てても文句言いません。むしろ、こっちが心配なんで寝てて下さい」

よっぽど不思議そうな表情を浮かべてたのか、クスクスと小さな笑い声を零しながら新八は姿勢を正した。
お布団敷きますねと、柔らかい言葉を残して遠ざかる新八を引き止めないように、俺は拳を強く握り直した。

「銀さん、ソファで寝ちゃ駄目ですからねー」
「・・・おー」

和室から聞こえる声に、何とか返事が出来ただけでも上出来だと思う。

 

 

せっかくの気遣いを無下にするのも何だと思って、新八に促されるままに布団に横になった。
ついさっきまで干されてた布団は薄っぺらな癖にふかふかで、日向の香りがする。
別に眠いと言う訳ではなかった筈なのに、うとうと舟を漕ぐ。
恐るべし、干した布団の魔力。
それでも直ぐに眠りに落ちないのは、襖一枚隔てた向こう側で聞こえる微かな音のせいだ。
掃除か何かしてるんだろう。
俺を気遣ってか、極力音を立てないように気を付けている気配を感じる。
これは育ちの良さか、それとも生まれながらにして持つ新八の気性なのか。
あー・・・多分両方だな、うん。
納得しながら、ごろりと寝返りを打って横を向く。
微かな物音は、其処に新八がいる証拠だと思うと子守唄でも聞いてるような心地になってぼんやりと開けていた目を閉じた。

 

 

浅い眠りの中で感じた柔らかな感触。
どんなに頑張っても跳ね捲くる俺の癖毛に触れるのが人の手だと、なんとなく分かった。
起こそうとするのではなく、もっと深く眠るように促すような仕草。
あぁ、これは間違いなく新八の手だと確信する。
そんな風に触れる、な。
年甲斐も無く、眼の奥が、胸の奥が熱くなる。
優しく触れるその手を掴んで、お前が欲しいと・・・叫びたくなるから。

「銀さん」

突然聞こえた囁きに、身体の何処も動かなかったのは奇跡に等しい。呼吸のリズムさえ変わらなかったのも。

「銀さん・・・早く、気付いて下さいね」

何を?と、思う。
でも、その問い掛けは変わらない呼吸に溶け込ませた。

「     」

耳元での囁きは、空気を振るわせただけに終わる。
それでも、確かに囁かれたそれは俺に聞こえた気がした。

 

 

夢を見た。
黒一色の中で白く光る扉。
何の飾りっ気も無く唯一の装飾は、扉とは対照的なでっかい黒玉を付けたようなドアノブだけの扉の夢。
鍵が掛かっていると、ドアノブを掴む事を諦めたそれ。

本当に・・・本当に、鍵は掛けられているのか?

不意に浮かぶ疑問。
俺はまだ、ドアノブを回していない。
ドアノブにすら触れていない。
それで、絶対に鍵が掛かっていると言い切れるのか?
試してみても、許されるんじゃないのか・・・?
見えない力に背中を押された気がして、俺はドアノブに手を伸ばす。
掌の中に収まったそれはひんやりと冷たかったけど、それでも強く握り締める。
後は・・・。

 

 

 

 


後書き

坂田家小説を書く前に、銀新の馴れ初め書かなくてどうすんだ貴様ぁあぁあぁ!!
と、セルフ突っ込みしたのは良いんですけど・・・。
な・に・こ・れil||li _| ̄|○ il||li
ってか、コレ誰ですか!?しかも、続くみたいな終わり方・・・っ!!
いや、書きますよ!ちゃんと続き書きます!!
本当、グダグダってか流れ意味不明ですみまっせん!!!
雰囲気小説目指すとか無謀な事した罰ですかねぇ・・・( ´△`)アァ-
精進いたします・・・(-ノ-)/Ωチーン

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